インドの話 2_2

 

午前9時起床。ダイビングスクールに電話。セナが親切にも薬を買ってきてくれた。

 

 

 

朝起きてもまだ頭痛が残っているが、宿題であるダイビングテキストのモジュール3だけは読み終えてから出かけた。体調のせいもあってなかなかハードな学生生活だ。

 

 

 

 1.苦手な西洋人客が非常に多い。

 2.レッスンが英語で行なわれる。

 3.酸素ボンベかついで肩が痛い。

 4.ビーチがガソリンオイル臭い。

 

 

 

この旅序盤の計算違いは、ダイビングスクールを甘く見過ぎていた事による。そう、まるでレジャーのように。「…って、でもこれレジャーだろ?」ともよくよく思う。

 

 

 

日焼けで肩がひりひりすると思いきや、酸素ボンベの食い込みによる打撲であった。

 

 

 

日本人カップルに出会う。彼らもダイビングスクールに通いライセンスを取得したらしい。会話しながら、彼女のどじなスクール体験も聞けて私は安心した。ずっとマンツーマンの指導だったから、自分のスキルの相対的なレベルがつかめなかったのだ。

 

 

 

カップル「ダイビングは怖いですよ、怖くないですか?それにそんな深く潜る必要は無いですよ。この浅瀬でも綺麗な魚は十分見えるんです、ほらっ!」確かに足首のあたりに薄黄色の小魚達が泳いでいるのが見えた。彼らはライセンスを取得したっきりで、それ以降は潜っていないという。きっと私も同じ展開になる、そんな気がした。

 

 

 

夕食後、Romyというカードゲームをドイツ人男性に教えてもらいながら楽しむ。

 

 

 

今日もダイビング。ボートを降りて陸に上がった途端、スクールの馴染みのおばちゃん(西洋人)とスリランカ人スタッフが俺をかついで海へ逆戻り。そのまま、放り投げて、水中押さえ込みが鮮やかに決まった。「うー、お、おぼれるー!!(ふり)」どうやらニューダイバー誕生!の手荒い祝福という事らしい(正確には明日だが)。

 

 

 

そう、明日いよいよ全カリキュラムを修了するのだ。9割方は安堵感、しかし強いて言えばやり残している事が1つだけある。それは「1人のダイバーとしてダイビングを心から楽しむ」事だ!西洋人達に混じって一緒にダイビングするという経験もしておきたい。何はともあれ、明日の最終ペーパーテストに無事に合格してからの話だ。

 

 

 

今夜もドイツ人男性と夕食&ゲーム。この人は陰気な性格で、せっかくの食事をとてもまずそうに食べる上、ゲーム中は「うるさいっ!ゲームに集中できん!」と宿の子供にキレてしまうような人だ。マイナーなゲームだから誰もルールを知らず、いちからルールを教えて育て上げるまで逃げ出さなかった貴重な相手なのだ、私は。対局タイムはいわば果実の収穫、邪魔はされたくない、彼は今とても楽しいのだ(独笑)。

 

 

 

 

今日が最終日。最後になる2回目のダイビングでは、他ダイバーのみなさんとの共演を。ダイビングスポットでの社交的な経験を積んだ私は、もうどこのビーチに行っても堂々と振舞う事が出来るはずだ。しかしまぁ、もう潜る事は多分無いだろうけど。

 

 

 

その後、浜辺ではケーキとコーラで私の卒業を祝うパーティが用意されていた(支払は私)。ドイツ人夫妻も交えてインターナショナル。私はシュノーケルを装着させられ、スプライトを思いっきり流し込まれるというダイバーならではの洗礼を受ける。私のリアクションが、いつもと違ってオーバー気味だった事を見逃してはいけない。

 

 

 

ダイビングのライセンスカードを受け取る。昨日に引き続いて、今日も卒業パーティだ(支払は私)。なんだかんだと居心地のいいコミュニティであった、と思える今。

 

 

 

 

ヒッカドゥワ中心から離れて、以前ミルクを買ってあげたおじさんの家へ向かう。しつこい誘いを断り切れずに、今日ディナーに訪れる約束をしてしまっていたのだ。おじさん達がコメやアルミホイル・魚や薪を買ってきて(支払は私)準備をしてくれている間、おじさんの子供らとキャッチボールやバドミントンなどをして遊ぶ。おじさんとの話題はいつのまにか金銭的援助にフォーカス。彼はフレンドリーに提案する。

 

 

 

 

「君がうちに来た時はいつでも泊まってっていい、だからこの家の増築に協力してくれ!何故ならば、君は俺のフレンド、俺は君のフレンド!」「増築だめか?じゃあ今宵のビール代をヘルプ!これで幸せに眠れるんだ!」増築からのビールは新しい。では彼は下心に満ちた悪い人間だったか?というと、そうでは無いと思う。何故ならば

 

 

 

 1.実家に赤の他人の私を連れていった。

 2.家族を総動員して手料理を作らせた。

 

 

 

おそらくピュアにヘルプを求めているのだろう。それを得るには相手にハッピーになってもらうのが近道だ。ハッピーの対価・感謝としてヘルプを差し出す。それを期待どころか要請している。ヘルプの要請におびえながら感じるハッピー……は幸せか?

 

 

 

アクララから歩いて1時間ほどの街、アンバランゴダへ。異形の仮面の産地として有名らしい。そこにマスクミュージアムがあるというので行ってみることにした。道中は、ダイビングとも他人の家でのおよばれとも違って気楽で楽しい徒歩の旅だった。

 

 

 

 

道中出会ったセナ(ゲストハウスのおじいさん)ら2人と一緒に行動していたので、3人で昼食(またしても支払は私)。食事も終わりに差し掛かると、それが暗黙の了解みたいな、どよーんとした嫌な空気が漂い始める。何故、私が支払?何かハッピーになったっけ?理由は、マスクミュージアムに付き合ってもらった事ぐらいしか思い浮かばない(頼んでいないが)。金額の多寡ではなく納得の有無の問題だ。きっと私の知らない慣習や考え方があるのだろう。まぁいいや、もう次の街へ出かける時だ。

 

 

 

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