イワシの話

 

 

ある晴れた日に、私は子供といっしょに傘松公園にのぼった。
土産売場に陳列されたオイルサーディンを見て私は確信した。

 

 

テレビでもよく取り上げられる竹中罐詰のオイルサーディン。
しかし、おそらくほとんどの方が見たことのないデザインの
オイルサーディンがここ府中に秘かに陳列・販売されている。

 

 

通販でも売られていない・画像検索も1件しかヒットしない
という(調査当時)そのオイルサーディンは、こんな感じだ。

 

9401 オイルサーディン420.png

 

 

 

一方多くの土産店やホテルで販売されているのがこの商品だ。
ネットでも大量に画像が流通し、通販でも人気商品のようだ。

 

9402 オイルサーディン480.png

 

 


2つがどう違うのかをまとめると以下の表のようになる。

 

ーーーーーーーー9401 オイルサーディン420.png ーーー9402 オイルサーディン480.png    

 

缶カラー※※※※※※※※※緑缶

天橋立観※※※※昇龍観観※※※※※飛龍観

撮影地区※※※※府中地区※※※※※文殊地区
撮影場所※※※※傘松公園※※※ビューランド

鰯の種類※※※カタクチマイワシ
当店価格※※※※450円※※※※※500円

巷の評価※※※※おいしい※※※※※すごくおいしい


   
私の記憶では、昔のすぎのやには青缶しか置いていなかった。
だから、青缶のあっさりしたイワシの味になじんでいるので
青缶より緑缶が上という世間的な評価はあまり気にならない。

 

しかし、オイルサーディンの起源はやはり緑缶のマイワシだ。
竹中罐詰社長によると、昭和38年以降、マイワシ漁獲量が
減っていくのに従って、代替にカタクチイワシを使い始めた。
現在は、マイワシが回復傾向、カタクチイワシが減少傾向に
あるようだ。カタクチイワシの青缶生産量は10分の1程に
なったそうで、今後も徐々に減っていく可能性が高いという。


では現在、青缶はどこにいけば手に入るのだろうか?それと
同時に思う。なぜうちは昔、青缶しか置いていなかったのか。

可能な範囲で、各地区のオイルサーディン販売状況を調べた。

 

 

■ 府中地区(大垣)■

 

店舗※※※※※※

土産店A※※※450※※※490
土産店B※※※450※※※490
土産店C※※※450※※※490
土産店D※※※450※※※500
土産店E※※※470※※※520
土産店F※※※--※※※520 
土産店G※※※520※※※--


■ 府中地区(ロードサイド)■

 

土産店H※※※--※※※515
土産店I※※※--※※※515
土産店J※※※--※※※520
土産店K※※※--※※※550
土産店L※※※--※※※570※※上等な箱入で中身が見えないため参考記録

 

■ 文殊地区(智恩寺周辺)■

 

土産店M※※※--※※※515
土産店N※※※--※※※520
土産店O※※※--※※※550
土産店P※※※--※※※550
ホテルA※※※--※※※550

 

■ その他地区 ■

 

ホテルB※※※--※※※540
BAZR※※※--※※※502
NSGK※※※--※※※513
FQYA※※※--※※※540

 


青缶は府中大垣だけでしか手に入らないという結果になった。
なんで文殊には無いんだろ?と周囲に尋ねたところ、ひとつ
予想外の示唆が得られた。「それぞれの缶のデザインのせい」

 

つまり、文殊は文殊から見た飛龍観がデザインされた緑缶を
取扱い、府中は府中から見た昇龍観がデザインされた青缶を
取扱っている。とはいえ、起源は緑缶だから、それも取扱う。
このような経緯で、府中は2種類置く店があると推測される。

 

ただでさえ商品種類の多い竹中罐詰製品群であるから、青缶
を置かないのを理解するのはたやすい。緑缶のみの店舗では、
高価な3個入・5個入の箱の商品陳列が充実しているようだ。

 

青缶と緑缶で迷わせるより、緑缶ブランド1種類のみで価値
を高めて、より高級感ある贈答用も手に取りやすくしている
のだろう。しかし府中以外で1店ぐらい青缶をおいていても
不思議ではないのに、見事にない。戦略が一致しているのか、
青缶がやはり味で劣るとみられているのか、それとも………。

 


では、傘松公園にある土産売場には青缶はあるのだろうか?
いや、当然あるとしても、果たして緑缶はあるのだろうか?
対岸の、いわばライバルである飛龍観のデザインされた緑缶。
置きたくない?しかし素材的には置かざるをえない?どっち
が優先される?子供のお守りがてら私は傘松公園に向かった。

 

 


■ 府中地区(傘松公園)■

 

 

店舗※※※※※※

 

土産店Q※※※500※※※650※※上等な箱入で中身が見えないため参考記録

 


素晴らしい!素材的には青・緑と揃えておきながら、ぱっと
見は青缶のみという売り場になっている。昇龍観総本山?で
飛龍観の商品を堂々と並べて売るわけにはいかない!という
プライドが感じられ、緑缶の価格高め設定にも意志を感じる。

 


きっと昔の「すぎのや」でも、同じような愛着で青缶のみを
取り扱っていたのだろう。そのころの他店の取扱状況はよく
分からないが、現在では「なんと府中でしか手に入らない!」
と宣伝ができそうなほど秘かなローカル商品である。しかし
この青缶のポテンシャルはこの程度なのか?きっとまだ青缶
のおいしい適した食べ方があるに違いない。同じく宮津名物
の黒ちくわも、カリカリに天ぷらにすることによって今まで
知らなかったおいしさが引き出されたという例があるように。