インドの話 2_5
午前中は、土産物屋で店主と世間話(英会話練習)。夕方ようやくビーチで日光浴。
久しぶりに日本人(22)と遭遇。これまで20カ国以上を旅していて、今回が就職前の最後の旅だという。帰国後は彼女と同棲もするので、これを機に真面目な生活に戻らなければならない事を自覚しているが、今はまだまだ不真面目な大麻愛好家だ。
夜になってふと彼を見やると、もう既に彼はとおーい世界に逝っていた。うつむきながら無限の底を覗いているような素敵な眼つき…。きっと、幻覚の中では拍手喝采受けているに違いない。さっき「カルカッタで中古のピアノ屋さんを見つけて、思わず「千と千尋」の主題歌を弾かせてもらったんです。そしたら、日本人の方がいっぱい寄ってきて、弾き終わると拍手されました」と言っていたから。1人旅、異国でこんなの聴こえてきたら固まりそう。まして小汚いカルカッタでとは、なんて泥中の蓮。
終日ビーチ。沖合に出て汗を流すが、平泳ぎオンリーなのでリゾートっぽくはない。
カニャークマリへ出発予定。しかしオーナーが「今日は祭りだ!!バスやリキシャーは動いてないぞ(もう1泊)」と騙そうとしたので、と思いきやそれは事実だった。
というわけで、今日も沖合に泳ぎに出た。しばらくすると、浜辺の監視員らしき男性が笛を鳴らした。「陸に戻って来い」メッセージだろう。近くで泳いでいた西洋人達が速やかにクロールで引き上げていったのをよく覚えている。それはもう鮮やかに。
その時は知らなかったが、離岸流(RIPCURRENT)だった。後で確認したら浜辺看板にもそしてロンプラにも注意書きがあった。それとは知らず、真っ向から浜辺めがけてしかも平泳ぎという愚行。当然、一向にビーチに近づけない。「す、すすまん!」沖合に1人で20分ぐらい漂っていて、だんだん息が荒くなり疲れてきた。
「祭りで予定変更。その余分な1日で命を落とすか、ありがちだな…」
「ダイビングで習ったSOSのサイン出すか、かっこ悪すぎるなぁ…」
「もし気づいてくれたとしても、救命用ボートって無さそうだなぁ…」
「今、足つったら死ぬな…」30分後、流れが止んだかのように難なく上陸できた。
コヴァーラム幹線のバス停でバス待ち。次は最南端カニャークマリ、ここで昨年泊まった宿のチキン・オムレツ・カレー・ミリンダのセットが1番のお気に入りだった。
次々と来るバスに「カニャークマリ行く?」と尋ねるがなかなか巡り合えない。1時間後、なんと私は逆方向のバス停で待っていた事が判明。時間のロスとかどうして方向を勘違いしたのだろう?とかいう以前に「誰か教えろよ」としか思い浮かばない。
カニャークマリのお気に入りの宿「Shalimar South End Park」にチェックイン。去年桃山さんらと電撃的な出会いをした宿だ。台帳を見ると、99年記帳以来日本人は私たち以外に1人しか来ていない。彼らに出会えたのはすごいラッキーだったのだ。
もう1部屋はバイクで旅しているフランス中年男2人組だった。酒もタバコもバイクもオンナも好きだと豪語する素敵なフランス人に「あと食事もだろ、テメエらは。人生の楽しみ方って制約無いんだなぁ」と勝手に枠をはめている自分に気付かされた。
私「夕食チキンプリーズ!」
マ「今コックは帰省中だ。」
マ「けど俺それ作れるね。」
夕食は去年お気に入りだったフライドチキンをリクエスト。キッチンで作り方拝見。
昨日食べたフライドチキン、味の決め手となるスパイスは市販品だった。10軒ぐらい雑貨屋を周ってようやく発見、10袋買う。しかし、日本に帰るとものの見事に食べたいと思えなくなって結局使わず仕舞い。あれだけ歩き回って手に入れたのに...。
カニャークマリはこじんまりとした街だが、見所はいろいろある。去年訪れてなかったガンジーミュージアムと教会を訪ねた。……桃山さんはガンジーが好きだったな。