インドの話 2_9

 

「ブーメラン」というレストランでペワ湖を眺めながらモーニング。この旅1・2を争う居心地の良さに「しばらくもうポカラでええわ」とあえなく陥落。ヒロコも気に入ったのか、自らポカラに3泊する事を決断。彼女の休暇は10日間なので、最近のプランは彼女優先だ。早速「延泊&更なるディスカウント」の話をつけてきた模様。

 

 

 

DALという若い男性に声をかけられ、いきなり手帳を見せられる。そこには日本人旅行者によるDALへの感謝や信頼が綴られていた。「そのノートにあるように私は信頼できる男だ。君と友達になって村訪問やトレッキングに案内してあげたい。そのお礼にほんの気持ちだけお金を頂きたいな!」これは間違いなく後で揉めるので当然断るが「せめて明日映画でも!」あまりにしつこいのでついつい約束してしまった。

 

 

 

その後、カシミール出身の土産物店でティーをごちそうになり世間話。「出会いは神のおぼしめし」というムスリムなおじさんは、私を明日のディナーに誘ってくれた。買わなきゃいけない流れにあえて身を任せる私。ヒロコも連れてきてやろう(贄)。

 

 

 

夕方合流したヒロコのリクエストで、夕食はダルバート。するとそこにヒロコが「アニールモモ」で出会ったという山梨県出身の男性も来店、同席して食事となった。並びは「ヒロコ・私・山梨県」だ。これは、私がヒロコの様子を見て時々会話をふらないといけないパターンだ。彼女を真ん中に据えとくべきだったか?それも怖いけど。

 

 

 

昨日のディナーで居合わせた日本人3人と朝食で偶然再会。4人中3人B型だった。別に嬉しそうに血液型を尋ねている訳では無い。「血液型で性格を判断する事」はナンセンスとされるので、この話題はどうでもいいわりに切り出し時が難しい部分もあるのだ。しかしB型絶対多いぞ!とは思っていて気になっているので自然に(笑)。

 

 

 

昨日のDALと一緒に映画行く約束だったけど、奴がその友人数人まで勝手に呼んでいたのでいらっとする。また俺に奢らせるつもりだなっ、こいつらは(スリランカ・インド・ネパール)!よせばいいのに「タクシーで行こう!高級シートで映画を楽しもう!」私は不機嫌そうに「You want me to use my money?」と尋ねると、なんと「Yes!」と答えやがった。私の発音が下手すぎたので適当に答えられたのか?(悲)。まぁいいや、ちょっと早いけどキレたふりして逃げ去る。

 

 

 

「アニールモモ」で「金田一少年の事件簿⑤⑥」。毎日読んでいるせいか、予想外の副作用が出た。誰もいないホテルの部屋に戻ってくると、その部屋が殺人現場のような感覚に陥ってしまう。そして、バスルームに人の気配が無いかな?とか考えてしまうのだ(笑)。「金田一少年」しか日本語情報が与えられていない日々。これも一種の洗脳か?こんな私は、シャンプーしている時はもちろん背後が気になってしまう。

 

 

 

夕方、カシミール人宅でディナーご馳走になる(第1R)。まだ何も買わずに帰る。

 

 

 

珍しくヒロコの帰宅は遅かった。今日は「サランコット」という小高い丘にトレッキングに出かけると言っていたが……。夜10時過ぎにようやく帰宅。山梨県のお兄さんと2人でボートに乗ったり、ご飯を食べたりしていたらしい。湖の上で2人は一体どんな会話をしたのだろう?昨日の静かなディナーを思い出して私は興味が湧いた。

 

 

 

夜、カシミール人宅へ(第2R)。今日はヒロコも一緒。すると親父、今日は私の時より押し気味にヒロコにお土産を薦めてくる。ヒロコはショールを買う流れに乗っちまった。おかげで私は逃げ切った(計算通り)、だって欲しいモノがないんだもの。

 

 

 

ここで夕食を頂く時には、いつも以上にお腹を空かしておかねばならない。完食したと思ったらすぐにおかわり攻撃だ。断ると「おいしくないのか?」に「いやもう、お腹いっぱいで…」と答えても全く納得してくれない。ヒロコは超スローペースになりながらも何とかおかわりを食べきった。彼女が食事を心から楽しめる日は遠い……。

 

 

 

今日はポカラから世界遺産チトワン国立公園へ。ここではジャングル散策を予定。私は野生動物を見るというのにあまり興味が無いが、ヒロコさんたっての希望だった。

 

 

 

チトワンにバスが着いて、下車した途端(ホテルの)客引きがどっと群がってきた。が、西洋人の旅行者を取り囲み、なぜか私たちには全く寄って来ない。普段はうっとおしいがこういう時は寂しい。しかし、私がトイレに行って戻ってくると、その客引き達はすごい勢いで私たちを取り囲み始め、名刺を高く掲げて、何か金額をまくし立て始めた。およそ15人ぐらいか。インドでこういうのに慣れていたはずの私ですらトイレで油断したせいもあってしばし呆然としてしまった。ましてやヒロコは……。

 

 

 

この客引き共をウォッチングする為だけにチトワン行ってもいいぐらい。奴らはしきりに「10ルピー!」「5ルピー!」とか叫んでいるが、それはバス停からホテルまでのタクシー代だ。私は、このバス停からジャングルサイドまで数キロ離れているのは知っていたので、その金額がタクシー代だと分かったが、ヒロコにしてみると本当に意味が分からないだろう。まぁ分かったところで、私が知りたいのはタクシー代より宿泊代だ。しかし、しゃべらせてくれるような隙が無いほど、連中はやかましい。

 

 

 

ここは「客」として毅然と対応せねばならぬ!!何はともあれ、この騒がしさを鎮め状況をコントロールする必要がある。私は、肉迫する客引き共から次々と名刺を奪い取り、シャッフルし始めた。こいつらのセールス方法じゃ、どこのホテルがいいか全然分からんから、適当に名刺を1枚引っこ抜いてそこに決めてやろうという訳だ。そう、私がシャッフルしているのは、実は名刺ではない、奴らの運命そのものなのだ!が、奴らは相変わらずセリのように連呼するばかりで、運命の行方を全然固唾を飲んで見守らん。シャッシャッシャシャッシャ…「おかしいな、主導権が来ねえ……?」

 

 

 

私は急かされるように1枚引いた。当たりの男が元気よく挙手したが、これはいけない、ちょっと人相が悪すぎて…。私はもう1枚引いた(笑)。それが今いるホテル。

 

 

 

今日の一言「How many elephants? 」

別に知りたくないけど会話を続ける為に聞いてみよう!

 

 

 

朝6時にホテルを移動、リバーサイドホテルにチェックイン&ミルクティ。やがて、予約していたジャングルウォーキングのガイドさん2人がやってきた。さぁ出発だ!

 

 

 

タライ平原を悠々と流れる小川を渡って、ここからはいよいよ野生動物さん達のテリトリーをウォーキングする事になる。ここでガイドさんから衝撃的なガイダンスを受ける。「ではこの先トラに遭遇した場合の対処法をこれから説明します」って、こらこら俺ら丸腰やがな(笑)。そういうガイドさん達も棒切れ1本だけだけど大丈夫?

 

 

 

ジャングルを4時間もの間ひたすら歩いた。時折、サイやシカに出くわす事があったらしいのだが、ガイドさん視力良すぎで「ほら、あそこ見えるだろ!」と言われても全く見えず、そのうちリアクションに困ってきた。幸い?トラには遭遇しなかった。

 

 

 

シャワー・昼寝の後、遅めのランチ。朝の体験も吹き飛ぶ程の、スタッフからのトーク責め(60分)。ランチのたびに憔悴していくヒロコの様子はとても興味深い。見知らぬ赤の他人とトークし続ける事はかくも疲れる事なのだ、わが家にとっては…。

 

 

 

今日のヒロコさん ベッド底のベニヤ板を踏み割ってしまって、スタッフに申告しなきゃいけないけど、それが嫌でふて寝する。その間に夕日は沈んでしまった。タライ平原に沈む夕日はそれはそれは美しいのに。彼女、昨日は夕日を見て感動していたのにそれが今日はどうだ。夕日なんて眼中に無く、ただただふて寝。「オフの時ぐらいは義務的に他人と接するのはごめんだ!(薬剤師)」という心情なのだろうと推察。

 

 

 

KTMへのバスでランチ休憩の時、ポカラで同じホテルだった日本人2人と偶然の再会。KTMに着いた後も、ネットカフェでそのうちの1人とまた再会。一方、街をぶらぶらしていたヒロコは裕子さんと偶然めでたく再会。で、みんな再会して4人で行動。話は逸れるが、ヒロコはこの数年後フランスや北欧を一人旅するようになった。

 

 

 

夜、ホテルアンナプルナ内のカジノを再訪。960ルピーだけ勝つというスケールの小さい私、負けなかったから良しとしよう。それに遊んでいられるのも今だけだ。聞いた話によると、ストライキ実施の為、4月2日から5日間ほど全ての交通機関がストップするらしい。そういう事は私がポカラに滞留中にやってほしいが、いずれにせよ4月に入ってからで良かった。ヒロコは明日3月30日ネパールを飛び立つのだ。

 

 

 

スワヤンブナート寺院へ行く。寺院への長く急な階段沿いに露店がたくさん並んでいてつい見てしまう。ポカラで露店のチベタンアクセサリを大量購入したヒロコの影響だ。彼女は、ポカラで商品を安く仕入れて「すぎのや」での委託販売を企んでいた。

 

 

 

昼過ぎ、優しそうに見える私は、怪しげな(失礼)日本人青年に助けを求められた。とっても焦っているようで、聞けば「レンタルしたトレッキングウエアを明日お店に返して欲しいんです」という事だ。彼は、今日エベレストから下山してきたところで今夜フライトを控えているのだが、今日(土曜日)はネパールの定休日らしい。「店が閉まっているので返せない、でも今日帰らなきゃいけないし……」チップに釣られて快く了承したが、どうやら返すだけではなくて、デポジットのTCも面倒(受取・郵送)見なければならない。それは全くチップに十分値する手間仕事だったが、彼からしたら優しいだけでなく几帳面にも見えたであろう私はきちんと仕事を完遂した。

 

 

 

ヒロコのネパール最後の食事は、落ち着いた高級店でダルバートフルコース。私は思いたい、今まで得る事の稀だった安らぎの食事に、彼女はついに到達したのだと…。

 

 

 

21時7分、ヒロコ、部屋を去る。

ヒ「どうもお世話になりました!」

私「空港着くまでは気抜くなよ?」

ヒ「…解放された思っとるやろ?」

私「そんな事無いよ(Sure)」

 

 

 

2002_08                              2002_10