インドの話 2_20

 

日の丸オリジナルTシャツを着て、スペンサープラザ内のカフェに行く。 夕方5時にロシア戦スタート。ご存知の通り、日本が勝ったおかげで帰路はハッピーだった。

 

 

 

 

でも……、この街には共に祝うべき日本人は見当たらないんだ。緊急帰国用チャーター便がニューデリーに来るという噂が広まるほど緊張が高まっている。ただでさえ南は北より日本人が少ない、その上インド出国まで促されては見当たらないのも自然。

 

 

 

スペンサープラザでコロンボまでのフライト代を尋ねると、私の予想の2倍額を提示された。私はこの代理店がボッたくっている可能性も考えて、ここでの購入はやめてマハーバリプラムへ移動。だが、マハーバリプラムでは更に高い料金が待っていた。

 

 

 

昼過ぎ、セカー(彫刻家)に再会。困った事に、彼はこの数ヶ月の間にも購買欲をそそる作品をいくつか仕上げていた。店先でしばし物色・談笑した後、実家に赴いてチャイを頂いた。相変わらずお金に困っているようで、またねちねち深刻な話になる。

 

 

 

夜になって、セカー再登場。困窮極まって、心に余裕が無くなってきているようだ。

 

 

 

「マサトー、1000ルピーくれないか。家族の食糧代も無いんだよ…。」

「言ったでしょう?買う事は出来るよ。しかしあげる事は出来ない、と。」

「それに前回10000ルピー分、買ったんだ。それがマックスなんだ。」

「あなたの生活全てを、1旅人に過ぎない私1人に負わせないでほしい。」

「でも約束したじゃないか。」「…何を?1000ルピーあげるってか?」

 

 

 

WHENDIDISAYSUCHATHING?DONOTTELLALIE!ENOUGHISENOUGH.GETOUTOFHERE!OKOTTEOIDASU

 

 

 

昨晩、私に怒られて部屋から追い出されたセカーが、いつもと変わらぬ顔して今朝もやってきた。なかなか図太いメンタルだ。しょうがなく部屋に入れて適当に相手していたら、明日彼の店へ再び行く事になった(もちろん買う約束は出来ないと断った上で)。奴としては、自分のフィールドに敵を呼び込んで決戦を仕掛けたいのだろう。なにせ私は昨年、帰国日に衝動買いをした実績を持つ男だ(自分でも忘れていた)。

 

 

 

夜スリランカへ電話する。メイドさん「ピンキーはコロンボへ出ているわ、金曜日まで帰ってこないの」との事だ。「彼女はNZ留学中よ」という大悲劇は避けられた。

 

 

 

なぜか今日いきなりミールスが美味しいと気付いた。こつこつ2年食べ続けてみるものだ。私の定番パラータ&プーリーに、遅ればせながら新たにミールスが加わった。

 

 

 

夕方、セカーの店へ。新作が並んでいる。それらは苦笑いするくらい私好みだった。「買わないつもりなのになぁ…。絶対じゃないけど」一方、彼は今15000ルピーもの借金を背負い、お金が必要で必要でたまらない。いかにして買わすか商談開始。

 

 

 

第1希望だった白ガネーシャは重すぎて諦める。まだ内側から水分が抜けきっていないらしい。他の新作も同じ状態のようだ。3ヶ月前の買占めが地味に効いているな。

 

 

 

商談は進まなかったが、500ルピーを前払い。だって「家族の食糧代も無いんだ」と言うんだもん。そのかわり「来月スリランカから帰ってきた時に立ち寄るからサービスよろしく!」という条件だ。1000ルピーほどのお買上げで許してもらおう。

 

 

 

明日のコロンボ行きフライトの為に、あまり寄りたくないけどチェンナイへ。マハーバリプラムから空港まではタクシーで行けるけど今回は節約。満員列車に乗る覚悟。

 

 

 

食事後、空港へ向かう。予定通り満員列車。30分ほどで空港最寄駅のティルサラムに着いた。ティルサラムから市街中心部方面、最終列車は23:47。深夜到着ならタクシーより気楽かも。7月1日に戻ってくるまで、ひとまずインドにさようなら。

 

 

 

空港からバスに乗り込み、前寄りのシートに腰掛け一息「なぜまたスリランカに…」安ドミトリーにチェックインすると、そこには先客の日本人が1人、ノーパンで寝てらした。この人、直行便でこの国に来たものの馴染めずじまいで、FIXされた帰国日を待ちわびながら、このドミで惰眠を積み重ねている始末(笑)。「腹減らないんすよ…」という謎の状態(原因不明)で毎日バナナ2本ぐらいしか食べないそうだ。

 

 

 

朝食はダル(豆)スープ&パラータ。昼食はドミの日本人と一緒にWTC3階の高級ビュッフェ。今日の朝昼の食事を経て、私は「またスリランカで生きていけそう」と感じた。というのも、前回のスリランカで、激辛料理と激甘ミルクティー・激甘ケーキに遭遇して、まともに満腹になった事がないほど食事に不安不満があったからだ。

 

 

 

ピンキー宅へ電話。あかん、ママが出た!しかもピンキーがコロンボから帰ってくるのが延期になって来週だという悪い報せ。偶然にも私も今コロンボだが、ママの口調は明らかに非歓迎モードなので話は進展しない。そのかわり明日キャンディ市内でママと会う事になった。ママ「さて、What will we discuss 明日?」

 

 

 

直訳すると全然楽しくないディナーになりそうな予感。それでも私は自分に言い聞かせる。「闘え!傷つけ!!小宇宙を燃やせ!!!」それらは手段では無くて目的だ。それでいいじゃないか、日本に帰ればすぐに記憶は失せて癒えてしまうのだから…。

 

 

 

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